味噌仕込みにお餅つき、すんき漬けなど、暮らしのなかで数々の食を手づくりする機会の多い、王滝村の暮らし。なかでもハードコアな存在(かもしれない)、「手づくり醤油」を搾る集いが過日、村内にて開催されました。
「手づくり醤油?」と、ピンとこないかたも多いかと思いますが、これは長野県信州新町に暮らしていた故・萩原忠重氏が考案した、自家製の醤油づくりの技。
萩原さんは「誰もが手間をかけずにおいしい醤油を自分たちでつくれるように」と、研究を重ね、編み出した技を人々に惜しみなく伝えていったのだとか。
その手法が県下そして全国へと広まり、手づくり醤油を仕込むグループと、仕込んだもろみを搾って醤油に仕上げる「搾り師」と呼ばれる人々が各地に存在しているのです。
王滝村の農家民宿&大衆酒Barの「常八」と村人も、そんな醤油づくりグループの一つ。御嶽山の雪解け水を生かして仕込んだ醤油もろみのおいしさを、一年かけて守り、育みました。
そしてこの日、近隣の木曽町から「搾り師」の鈴木真美さんを迎え、育てたもろみを醤油に変える、喜びの日を迎えたのです。
庭には常八スタッフと村人に加え、遠方からの来客も集って、小さなお祭りのようなにぎわいに。
薪で火を焚き、湯を沸かしながら「搾り舟」を組み立てて、おいしい醤油の誕生を待ち望む間に、はじめましての人のあいだにも自然と会話がはずんでいきます。
搾り台の先から滴り落ちるお醤油のおいしさに、思わず歓声が!
2010年ごろから自身でも手づくり醤油をスタートし、搾りの技を身につけていったという鈴木さん。そんな様子を見ながら、「みんなが自分の手で食を生み出して笑顔になる、この情景を見ているこの時間が大好き。自分たちの手でつくる、足元の幸せをつないでいけたら」と、にこやかに話します。
今年もまた、「常八」では醤油もろみを仕込む予定。その他にも地域のあちこちで、手づくり醤油の樽のある光景を目にすることができるかもしれません。
こうした、手づくりの作業や村の行事に、村外からでも参加ができるのが、王滝ならではの懐の深さ。ご興味のあるかたはぜひ、王滝村移住サポートセンターまで気軽にお問い合わせください。