ハードモード移住相談

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自然の恩恵を最大限受けられる土地、王滝村をアウトドアスポーツの殿堂に。

集落支援員/トレイルランナー 
大瀬 和文さん

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大瀬 和文

集落支援員/トレイルランナー

おおせ・かずふみ/1981年兵庫県生まれ。神奈川の大学を卒業後、東京で就職。その後、看護学校に入学し看護師として病院に勤務する。トレイルランニングの選手としても活動し、2016年にはトレイルランニング世界選手権日本代表に。17年に地域起こし協力隊として王滝村に移住。現在は、集落支援員としてアウトドアスポーツのイベントを企画している。

被災地として、その存在を知った王滝村。

王滝村の集落支援員として働く大瀬和文さんが、この村の存在を初めて知ったのは2014年の御嶽山噴火のニュースでした。戦後最大とも言われる火山災害は全国でも大きく報道され、御嶽山の麓にある王滝村にも甚大な被害をもたらしました。

当時サラリーマンから看護師に転身した大瀬さんは、この災害に心を痛めたと語ります。被害状況などを調べるうちに、王滝村でトレイルランニングのレースが開催されていたことを知ります。トレイルランニングとは、登山道や林道など、未舗装のコースを走るスポーツ。大瀬さんは病院の仲間がランナーだった影響で、自身も山を走っていました。

「王滝村は、長年トレイルランニングやマウンテンバイクのレースの舞台となっていた場所でした。看護師でありアウトドアスポーツもやっている僕は縁を感じ、なにか役に立てることはないかと考えました」

大瀬さんは、2015年のゴールデンウィークに開催されたトレイルランニングのレースに出場。それが初めての王滝村訪問でした。

「静かで自然豊かな良い村だなと感じました。噴火の影響が大きいと報道されていましたが、災害から一年経ち想像したよりも落ち着いている印象を持ちました」

しかし、実際に村の人と話してみると噴火の影響は思った以上に大きかったことを知り、ショックを受けたといいます。

「以前だったらこの時期は、もっと多くのお客さんで賑わっていたそうです。風評被害もあり、人が来なくなってしまった。見た目はいつも通り噴火前に戻ったようでも、中身はガラッと変わってしまったと聞き衝撃を受けました」

アウトドアスポーツの舞台として
経験も知名度もある王滝で、
村のためになるイベントを。

その翌年には100kmを走るウルトラトレイルのレースに参加。そのレースは午前0時にスタートし、国有林の林道を朝まで走るというもの。星空や朝焼けなど刻々と変わる景色を楽しみながら長距離に挑戦するコースです。スポーツを通して王滝村の魅力を体感した大瀬さんは、トレイルランの選手として王滝村の地域起こし協力隊に参加することに。2017年に引っ越しをしました。

新たな環境での生活を始めた大瀬さんは選手として練習を続けながら、アウトドアスポーツを通して村の活性化をしたいとレースを企画します。ランニングコースの舗装、会場の設営、大会の運営などを担当。トレイルランニングの選手にとって、王滝村は日本を代表するレースのひとつ。エントリーを開始すると、すぐにいっぱいになるほど人気があります。しかし村の受け入れ体制が整っていないことが課題でした。

「王滝村は、レースの開催地として10年以上の歴史を持っています。しかしその伝統を引き継いで今後も開催できるかどうか、ぎりぎりのラインでした。昔は観光産業で盛り上がっていた場所ですが、今は閑散としている。レースの運営は大変で人手が足りない。昔は村の人のボランティアでなりたっていたけれど、今はそんな余裕がありません。イベントは続けたいけれど、村の負担が大きい。そんな負の循環に陥っている様子でした」

そこで、レースの期間は、村の人のボランティアに頼らず運営は村で担当し、村の人には宿や飲食店など、本業であるおもてなしに徹してもらうことを決めます。飲食店の人には、会場周りに屋台を出していただき選手にも喜ばれたそうです。

「今までは選手としてレースに参加していましたが、運営の大変さを身をもって感じることで、自分の競技人生にも参考になりました」

今年は御嶽スキー場でのイベントも企画。国内でも珍しいヒルクライムレース〈御嶽スキーヒルクライム〉を開催しました。自然豊かな土地というポテンシャルを活かし、スポーツで街を盛り上げていきたいと語ってくれました。

「自然が育んだ地形はアウトドアスポーツに最適です。夏はカヌー、冬はスキーも楽しめます。そんなポテンシャルを活かして珍しいスポーツイベントもどんどん企画していきたいです。アウトドアスポーツといえば、王滝村というイメージが県外にもどんどん広がっていったらいいなと考えています」

Text: 宮原 沙紀
Photo : Sho Fujimaki(トップ画像)

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