ハードモード移住相談

Player_002

目標を持つ人にとっては桃源郷。やりたいことは全部挑戦する姿勢で挑む新しい田舎ライフ。

学習塾「おうたき寺子屋」/ 諏訪湖カヤック 
井川 竜太さん

Profile_

井川 竜太

学習塾「おうたき寺子屋」/ 諏訪湖カヤック

いがわ・りゅうた/1992年長野県諏訪市生まれ。大学進学を機に神奈川に移住。卒業後は東京の商社に就職し、2年間勤務。2017年4月から地域おこし協力隊として王滝村に移住し村営の学習塾「おうたき寺子屋」を運営。19年に起業し、王滝村での活動と並行して、諏訪湖でのカヤックツアー「諏訪湖カヤック」を主催している。

村営の塾を継承。
数少ない子どもたちの交流の場に。

人口約700人。過疎化が進む王滝村では、子どもの数も減少を続けています。村唯一の中学校も2022年3月での休校が決まり、4月からは隣町の木曽町中学校に編入することになりました。そんな王滝村には村営の学習塾「おうたき寺子屋」があります。小学生から高校生までが塾に集まり自習できる場所になっていて、わからないことがあればその場で質問をすることもできます。塾の運営をしているのが、現在は集落支援員として王滝村で生活をしている井川竜太さん。井川さんの移住のきっかけとなったのが、この塾でした。

「東京で暮らしていたときに、田舎への移住を考えはじめました。移住を検討している人向けのイベント『移住フェア』に参加したときに、王滝村に休校している塾があることを聞きました。以前の地域おこし協力隊の方がこの塾を立ち上げたものの、今は担当者がいないということ。もともと教育に興味があったのでこの塾を引き継げたらと思い、王滝村に移住することを決めました」

諏訪市出身の井川さんは、都会で生活しているときから将来的には長野県で生活したいと考えていました。起業することも夢だったので協力隊として働きながら、その準備もしようと考え勤めていた会社をやめて王滝村へ移住しました。

「長野県出身ですが、王滝村の存在は知りませんでした。はじめて訪れたのも地域おこし協力隊の面接のとき。王滝村に向かう道中で、結構な距離の山道を走ったので『この辺りかな?』と思ったらマップではさらに山奥だと表示され、この道は本当に正しいのかと心配したほどです(笑)」

想像以上の田舎に驚いたそうですが、井川さんにとって便利であることが自身の生活に優先するべき項目ではなかったといいます。

「山の中なので不便なことはたくさんありますが、車があれば買い物にもいける。それよりもやりたいことができる環境だということが、僕にとっては重要でした」
高校時代には、教師の道に進むことも考えたことがあるという井川さん。思わぬ形で夢を叶えることができました。

「子どもたちとは先生と生徒というより、友達のような関係です。ふざけるときは一緒にふざけるし、真面目に取り組むべき場面では締める。ありのままの自分で接しようと心がけたことがよかったんだと思います。卒業した子どもたちとも、今でも仲良くしています」

井川さんは王滝村で出会った女性と結婚し、子どもも生まれました。4月から保育園に通うことになっています。この地での子育てについては、不安はなかったのでしょうか?

「私も妻も、少人数教育には抵抗がありませんでした。先生もほぼマンツーマンで見てくれるし、のびのびとした環境でそれぞれのペースに合った学校生活を送ることができると思います。むしろ教育に適した環境だと思っています。僕が普段接している王滝の子どもたちは、精神的な成長が早いように感じます。子どもが少ないから、大人の社会の中で生きていて、話し相手も大人が多くなるからかもしれません。素直な良い子ばかりで娘もそんなふうにおおらかに成長してほしいです」

教育、そして起業……。
幼い頃の夢を、いくつも叶えられた場所が王滝村だった。

現在は、出身地である諏訪市でカヤックツアーを行う会社を経営しています。移住前から考えていた起業の夢も叶えました。夏はカヤックツアー、冬は受験シーズンと季節によって仕事内容にメリハリがあるのも気に入っています。

「昔は『仕事に行かなければならない』という義務感を持っていたのですが、今は良い意味で仕事という感じがしません。できるだけ自由に生きていきたいと思い、そのために会社を辞めました。運命的にこの場所で夢が叶い、家族もできた。プライベートと仕事の境目もなく、ストレスもない。王滝で既存の仕事に就こうと考えると、希望の条件に合う仕事を見つけるのは難しいかもしれません。でも、自分で自分の仕事をつくるにはとても良い環境だと思います」

自分次第で夢も叶う。王滝村は、そんな可能性に溢れています。

Text: 宮原 沙紀

プライバシーポリシー